顔認証システムとは？導入メリットや課題を解説

公開日：2025-11-25

人の出入りが多い場面での入退場管理では、業務の煩雑さや不正入場への対策などの多くの課題があります。
これらの課題を解決し、セキュリティ強化と業務の効率化を実現する手段として、様々なシーンで顔認証システムの導入が進んでいます。

本記事では顔認証システムの基本から、導入メリットや課題、活用シーンなどを解説します。

１．顔認証とは？
２．顔認証システムとは？
３．顔認証システムが注目される背景
４．顔認証システムの主なユースケース
５．顔認証システム導入の際の課題
６．高セキュアなモバイル顔認証システムとは
７．まとめ

１．顔認証とは？

顔認証は生体認証技術の一部で、人の顔の特徴をAIなどの機械が認識し、本人を確認する技術です。
マイナンバーカードを用いた本人確認やスマートフォンのロック解除など、様々な場面で活用されている生体認証技術の1つとして、私たちの生活に広く浸透しています。

顔認証の仕組み

顔認証は、動画や画像から顔の特徴点(※)を読み取り、個人を分析します。
特徴点を分析したデータをデータベースと照合することで、本人かどうかを判定する仕組みになっています。

※輪郭、目や鼻や口の距離などの個人の顔の特徴に関するデータ

この顔認証技術が実用可能になったことで、パスワードの入力やICカードの提示、物理的な鍵の管理といった手間がなくなりました。
顔をカメラにかざすだけで本人確認が完了し、確認工数を大幅に短縮できるため、様々な場面で本人確認業務のデジタル化を実現する手段として活用されています。

２．顔認証システムとは？

この顔認証技術を企業の業務で活用するためのシステムが「顔認証システム」です。
多くの企業がセキュリティ強化や業務効率化を目的として顔認証システムの導入を進めています。

顔認証システムの概要

多くの顔認証システムは、顔認証カメラ・認証サーバーに加えて連携先の業務システムから構成されています。
「本人確認+サーバーでのログ記録+他システムとの連携」の3つの機能がセットになることで、より便利なシステムとなります。

例えば、勤怠管理システムや入退室管理システムに顔認証を組み合わせることで、業務効率を大幅に向上させ、セキュリティを強化することができます。

【顔認証×他システムの連携例】
docomo MECのユースケース：顔認証

他の認証と比較した際の優位点

本人確認には、ICカードの利用や暗証番号による認証、紙による管理などがあります。
これら従来型の認証と比べて、顔認証には以下3つの優位点があります。

1. 認証のスピード
顔認証は瞬時に本人確認ができるため、ICカードなどの従来型の認証に比べてスピーディーに本人確認ができます。
本人確認をする人数が多ければ多いほど、入場にかかる時間が短縮されます。

2. 運用負荷の低さ
ICカードの発行や紛失対応が不要になり、登録管理も容易です。
カード管理にかかっていた管理業務の負担を大幅に削減できます。

3. 高いセキュリティ性能
なりすましや貸し借りを防止でき、共連れを検知することも可能です。
本人しか持ち得ない生体情報を活用するため、高いセキュリティレベルを実現できます。

例：ICカードと顔認証を比較した際の優位点

３．顔認証システムが注目される背景

では、なぜ顔認証システムが注目を集め、導入が進んでいるのでしょうか？
主に以下4つの背景が、企業における顔認証システム採用の大きな要因となっています。

技術進化による認証精度の向上

AIやディープラーニングの進歩により、顔認証技術の精度が大きく向上しました。
認証精度が99%を超えるとされているシステムも多く普及しており、様々なシーンで幅広く導入できるようになっています。

セキュリティ対策の重要度の高まり

技術発展に伴うサイバー攻撃の増加や情報漏洩事件により、企業のセキュリティ強化のニーズが高まっています。
企業のリスク管理体制強化の一環として、従来の入退室管理からより高度なセキュリティ対策が求められるようになっています。

顔認証は「本人しか持ち得ない」生体情報を活用するため、ICカードの貸し借りや紛失といった、既存のセキュリティ課題を解決する有効な手段となっています。

DXによる業務改善

入退室管理、勤怠管理、受付業務など、様々な業務で顔認証システムを導入することで、業務フローの効率化やペーパーレス化を実現することができます。

例えば受付担当者の人件費削減や、入退室管理にかかる業務の効率化が可能になります。

非接触・衛生面の配慮(感染症対策)

新型コロナウイルスの流行により、不特定多数が触れる機器への接触に対する懸念が高まりました。
これに伴い、指紋認証や暗証番号パネルなどの「接触を伴う認証」へ不安を感じる方も増しています。
その影響もあり、非接触型の認証システムなど、「触らずに使えるシステム」へのニーズが増加したことがあります。
CSR・健康経営の観点から衛生対策をアピールする手段として利用する企業も見られます。

このように、技術の進歩、セキュリティ強化、非接触に対するニーズにより顔認証システム導入の追い風となり、企業のDXとセキュリティ強化を実現する手段として注目されています。

４．顔認証システムの主なユースケース

顔認証システムは様々な業界で活用が始まっていますが、実際にどのように活用されているか具体的なユースケースを詳しく解説します。

本人確認

顔認証システムで最も多く利用されるユースケースが本人確認です。
マイナンバーカードによる健康保険証の利用など、身近な場面で本人確認に広く使われるようになっています。

顔認証システムを用いた実証実験も実施されており、大型イベントでの本人確認をスムーズに行うために顔認証システムが活用される期待が高まっています。

【実証実験の実例】
docomo MEC、MECダイレクト、AI顔認証モバイルゲートを使った実証実験を実施

入退場管理

紙やICカードを用いた入退場管理では、協力会社や短期作業員など、多様な人の出入りの確認に時間がかかっています。
加えて、共連れや代理入場による安全管理上のリスクもあります。

顔認証システムを導入することで不正入場のリスクを削減できる上に、本人確認と入退場管理にかかる業務負荷を大幅削減できるようになります。

勤怠管理システムとしての活用

顔認証システムを勤怠管理システムと組み合わせることで、出退勤管理の業務効率を大幅に改善することができます。

NIPPON EXPRESSホールディングス様では、docomo MEC上に顔認証勤怠管理システムを構築し、200人規模の作業現場で運用を開始しました。
従来の紙による出退勤管理から顔認証システムに切り替えることで、1拠点あたり年間約4,183時間の勤怠管理の時間削減が見込まれています。

【詳しくはこちら】
docomo MEC×顔認証勤怠管理システムによる倉庫内業務のDX実現

５．顔認証システム導入の際の課題

様々な場面で活用できる顔認証システムですが、導入にあたって大きな課題が2つあります。

認証精度のばらつき

照明やカメラ性能の違い、マスクや眼鏡着用をはじめとする見た目の変化により認証精度が下がる場合があります。
特に屋外や照明が不安定な場所では認識率が低下する可能性があるので、顔認証システムの設置場所には注意が必要です。

プライバシー保護とセキュリティ対策

顔画像のデータは個人情報にあたるため、サイバー攻撃や情報漏洩時のリスクが非常に高いです。特に顔データはパスワードのように変更することができない生体情報であり、一度流出すると取り返しがつかない重要な個人情報です。
顔データをどこまで収集・保存・利用するか、管理体制やサイバー攻撃を防ぐための対策をすることが必須となります。

また、利用者に対して利用範囲を明示し、同意を取ることも必要となるでしょう。

６．高セキュアなモバイル顔認証システムとは

顔認証システムを導入する際にはセキュリティ対策を必ず実施する必要があります。

前述の通り、顔情報は一度流出すると変更できない生体情報であるため、情報の流出は絶対に避けなければなりません。
そのため、顔認証システムを安全に運用するには、高度なセキュリティ対策が施された通信環境の構築が不可欠です。

そこで、インターネットに出ない通信環境を構築できるdocomo MECと顔認証システムを組み合わせることで、個人情報を安全に利用できるシステムを利用することができます。

【参考記事】MECとは？基礎知識から活用シーンまで解説

docomo MECとは

docomo MECは、ドコモネットワーク内に配置されたサーバー(IaaS基盤)と、MECサーバーへ直接接続できる専用回線サービス「MECダイレクト」から構成されるMulti-access Edge Computing(MEC)サービスです。

ドコモネットワーク内で通信を折り返すため、インターネットを経由しない高セキュリティで安定した通信が可能になります。
リアルタイム性の高い通信や、高度なセキュリティが求められるユースケースに適しています。

【より詳しく知るには？】
資料をダウンロードする

docomo MECを活用したモバイル顔認証システム

docomo MECを活用することで、ドコモネットワーク内での閉域通信による高セキュアな通信環境を構築可能です。
顔情報をインターネットに出さずに安全に保護しながら顔認証システムを利用することができるようになります。

また、有線を利用しないため、どこでも手軽に顔認証システムを導入することができます。

【docomo MEC×モバイル顔認証システムの特長】
1. セキュリティの高さ
インターネットを経由しない閉域通信により、外部からのサイバー攻撃リスクを大幅に軽減できます。顔画像などの重要な個人情報を安全に取り扱うことが可能です。

2. モバイル性の高さ
SIMを挿すだけでネットワークを構築できるため、有線工事が不要です。工場や倉庫のレイアウト変更にも柔軟に対応でき、一時的な作業員の入退場管理にも手軽に活用できます。

3. リアルタイム性の高い通信速度
ドコモネットワーク内で通信を折り返すため、通信の遅延を最小限に抑えることができます。認証処理がスムーズに行われ、ストレスのない入退場管理を実現します。

4. 他システムとのカスタマイズも可能
既存の勤怠管理システムや入退室管理システムとの連携も柔軟に対応できます。企業の業務フローに合わせたカスタマイズが可能です。

【より詳しく知るには？】
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７．まとめ

顔認証システムは、従来のICカードや暗証番号による入退室管理に比べて、非接触・高精度・業務効率化といった多くのメリットがあります。
それゆえに、さまざまな現場での導入が進んでいます。

セキュリティ面での安全性を担保しながら手軽に顔認証システムを導入したい場合は、docomo MECを活用したシステムを導入することもおすすめです。

リアルタイム通信×高セキュリティ

docomo MEC

docomo MECは、ドコモネットワーク内に配置したMECサーバーと、サーバーへのダイレクトなアクセスを可能にする回線サービス（MECダイレクト）を提供するサービスです。
インターネットに出ない通信により高セキュリティかつスムーズな環境を実現します。

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