PaaSとは?SaaS・IaaSなどの違いや代表的なサービス例も紹介 | docomo MEC® | 低遅延・高セキュアなドコモの法人向けクラウドコンピューティング PaaSとは?SaaS・IaaSなどの違いや代表的なサービス例も紹介

PaaSとは?SaaS・IaaSなどの違いや代表的なサービス例も紹介

公開日:2025-09-29

PaaSとは?SaaS・IaaSなどの違いや代表的なサービス例も紹介
クラウドサービスはSaaS・PaaS・IaaSといった形態に分類されており、それぞれ異なる特徴とメリットを持っています。
特にPaaSは「アプリ開発に集中できる環境」として多くの企業で活用されており、開発効率の向上やコスト削減において重要な役割を果たしています。

本記事では、PaaSの基本概念やSaaS・IaaSとの違いを整理した上で、導入メリットや代表的なサービス例をご紹介します。

1.PaaSとは?

PaaS(パース)とは「Platform as a Service」の略で、アプリケーションを実行・開発するための基盤(プラットフォーム)を、インターネット経由で利用できるクラウドサービスのことです。
PaaSはウェブアプリやモバイルアプリの開発基盤として採用されることが多いです。

従来はアプリ開発の際にサーバーやネットワーク、OSなどのインフラを自前で構築し、継続的な管理・保守を行う必要がありました。
しかし、PaaSを導入することでこれらのインフラ構築や運用管理が不要になり、開発者はインフラの管理を気にせずアプリケーションの開発に集中できるようになりました。

2.SaaS / IaaS との違い

PaaSとよく比較されるのがSaaS(Software as a Service)とIaaS(Infrastructure as a Service)です。
これらのクラウドサービスとはどのような違いがあるか、それぞれの特徴を整理して解説します。

SaaS

SaaSは完成されたソフトウェアやアプリケーションをインターネット経由でそのまま利用できるクラウドサービスです。
利用者はシステム構築や運用管理を必要とせず、導入後すぐに利用できるのが最大の特徴です。

【代表的なSaaSサービス】
・ Microsoft 365
・ Google Workspace
・ Salesforce
・ Slack

IaaS

IaaSはSaaSやPaaSと異なり、それらより下層のインフラ(仮想マシン、ネットワークなど)を提供しています。利用者は提供されたインフラ上にOSやアプリケーションを自分で構築することが可能です。

他のクラウド形態(PaaSやSaaS)と比べて自由度・基盤部分のカスタマイズ性が最も高く、要件に合わせてシステムを柔軟に設計できるのが特徴です。

【代表的なIaaS】
・ AWS
・ Microsoft Azure
・ Google Cloud Platform
・ docomo MEC(※)

【参考】
IaaSとは?SaaS・PaaSとの違いや代表的なサービス例も紹介

※docomo MECは、NTTドコモが提供するMEC基盤サービスです。
ドコモネットワーク内で通信が折り返されるため、他のIaaS基盤に比べて通信が早く、リアルタイム性の高い通信が実現できます。

【参考コンテンツ】
MECとは?基礎知識から活用シーンまで解説

docomo MECサービス詳細

PaaS

PaaSはアプリケーション開発や実行に必要なプラットフォームを提供します。
SaaSがアプリケーションそのものを、IaaSがサーバーなどのインフラを提供しているのに対し、PaaSではインフラが整った状態で開発環境も含めて利用できるのが特徴です。
つまり、SaaSとIaaSの中間地点に位置するサービスといえます。

PaaS上にはOSや開発環境、ミドルウェアが予め用意されており、利用者はアプリケーションやデータの開発に集中できます。
IaaSよりシステム設計の自由度は下がりますが、インフラの管理負担が大幅に軽減され、開発効率も向上するのが特徴です。

【代表的なPaaSサービス】
・ Google App Engine
・ Heroku
・ AWS Elastic Beanstalk
・ Microsoft Azure App Service
 PaaS、SaaS、IaaSの提供範囲の違い

PaaS、SaaS、IaaSの提供範囲の違い

3.PaaSを導入するメリット

PaaSを導入すると企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、特に重要な3つのメリットについて詳しくご紹介します。

開発スピードの向上

インフラ構築や管理の手間が省けることに加え、開発環境の構築も簡単に行うことができるため、IaaSやオンプレミスを利用している場合と比較すると開発スピードが大幅に向上します。
開発スピードが向上することで開発期間を短縮でき、競合他社よりも先にサービスをリリースできる可能性が高まります。
そのため、スタートアップ企業や新規事業開発の時など、市場投入を素早く行いたい時にPaaSが採用されることも多いです。

コスト削減

サーバーなどの物理資産を自社で用意する必要がなく、必要な時に必要な分のみ課金されるケースが多いため、初期投資と運用コストの大幅な削減につながります。

従来のオンプレミス環境では、将来的な拡張を見込んでオーバースペックな設備投資を行うことが一般的でしたが、PaaSでは実際の利用に応じた適正なコストでの運用が実現できます。

柔軟な拡張性

システムやサーバーのスペック・容量を需要に応じて柔軟に増減できるため、急なトラフィック増加にも自動対応が可能です。

ビジネスの成長や季節変動に伴うアクセス数の変化にも、システムを停止することなく対応できます。結果として、機会損失を防ぎながら安定したサービス提供を継続することが可能になります。

4.代表的なPaaSの例

現在市場には多数のPaaSサービスが存在しており、それぞれ異なる特徴と強みを持っています。
ここでは、代表的なPaaSサービスについて詳しく解説します。

AWS

IaaS基盤として世界最大シェアを誇るAWSですが、AWS Elastic BeanstalkなどのPaaSサービスも展開しています。
AWSが提供するPaaSのうち、主要なサービスは以下の3つです。

・AWS Elastic Beanstalk
WebアプリやAPIを簡単にデプロイできるサービスです。
開発者がコードをアップロードするだけで、サーバー環境(OS、Webサーバー、言語ランタイム、データベースなど)を自動で構築できます。
スケーリングや負荷分散、監視も自動化されるため、開発者はアプリケーションの開発に集中できる環境が整っています。

・AWS Lambda
サーバーを意識せずにコードを実行できるサーバーレス環境を提供しています。
ファイルのアップロードやAPIリクエストなどのイベントをトリガーに、関数単位のコードを即座に実行することができます。

・AWS S3
データを格納できるオブジェクトストレージサービスです。ウェブサイトやアプリケーションのデータバックアップなどの用途でも活用されています。
高い耐久性と拡張性を持ち、大規模なファイル保存や配信環境としても利用されています。

Microsoft Azure

Microsoftが提供するAzureもPaaSを展開しています。
AzureはWindows ServerやActive DirectoryなどMicrosoft製品との親和性が高いことが特徴で、既存のMicrosoft環境との連携が容易となっています。
以下はAzureが提供する代表的なPaaSです。

・Azure App Service
Webアプリ、モバイルアプリ、APIを短期間で構築・公開できる開発環境です。
NETやJava、Node.jsなど主要言語に対応し、CI/CD(継続的デリバリー)との統合も容易に行えます。

・Azure Functions
サーバーレスでコードを実行できるサービスです。
IoTやデータ処理など、小規模でイベント駆動型の処理に適しています。他のAzureサービス(Event Hub、Blob Storageなど)と密接に連携できる点も大きなメリットです。

GCP(Google Cloud Platform)

Googleが提供するGCPにもPaaSがあります。特にGoogle App EngineとBigQueryには馴染みのある方も多いのではないでしょうか。

・Google App Engine
コードを書くだけでアプリケーションを実行できる開発環境です。
Googleの豊富なインフラを活用し、スケーラブルなアプリケーション開発を実現します。

・BigQuery
大規模データをリアルタイムに処理できるクラウド型データウェアハウスです。
SQLで扱えるため学習コストが低く、アプリの分析基盤として数多くの企業で利用されています。さらにサーバー管理が不要で、大量データでも高速なクエリ実行が可能になるのが特徴です。

Heroku

Salesforceが提供するPaaSで、スタートアップや小規模の開発チームに人気があります。
Gitを通してデプロイすることができるため、学習コストが低く、手軽に利用できることが大きな魅力です。

シンプルさを重視する開発チームやプロトタイプ開発を行うチームで重宝されています。

5.まとめ

PaaSを導入することにより、インフラ管理の負担を軽減し、開発者にとって開発がしやすい環境を整えることができます。
これは単なる技術的なメリットにとどまらず、ビジネス全体の競争力向上につながる重要な要素です。

特に開発負荷を軽減し、スピード感を持ってアプリ開発を行いたいケースでは、PaaSを利用するのが最適な選択といえるでしょう。

なお、リアルタイムに近い通信速度や高いセキュリティ要件がある場合は、docomo MECのようなMEC基盤を組み合わせることで、PaaSだけでは対応が難しい領域にも対応できます。
必要に応じてdocomo MECの導入もご検討ください。

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docomo MECは、ドコモネットワーク内に配置したMECサーバーと、サーバーへのダイレクトなアクセスを可能にする回線サービス(MECダイレクト)を提供するサービスです。
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