ドローンをハッキングから守るセキュリティ対策を解説 | docomo MEC® | 低遅延・高セキュアなドコモの法人向けクラウドコンピューティング ドローンをハッキングから守るセキュリティ対策を解説

ドローンをハッキングから守るセキュリティ対策を解説

公開日:2025-05-26

ドローンをハッキングから守るセキュリティ対策を解説
近年、さまざまな業界においてドローンの活用が急激に広まっています。それに伴いドローンのハッキングなどのセキュリティリスクも深刻化しています。実際にドローンがハッキングされ行方不明になる事案や、データの漏洩などのインシデントも発生するようになりました。

本記事では、特に「ハッキング手法」と「セキュリティ対策」に焦点を当て、ドローンに対する代表的な攻撃手法とその対策をお伝えします。

ハッキングの手口と影響

ドローンのセキュリティ対策を行う前に、まず主な攻撃手法とその被害を理解することが重要です。
以下では、代表的なハッキング手法とそれによって発生する被害を整理します。

主なハッキング手法

 1. 無線通信の傍受と乗っ取り
ドローンと操縦端末の間の通信が暗号化されていない、もしくは脆弱な通信の場合、第三者により傍受・乗っ取りされるリスクがあります。
「GPSスプーフィング」と呼ばれる手法では、偽のGPS信号を送信し、機体を意図的に誤誘導させることも可能です。
このような攻撃は、ドローンの不正操作だけでなく、搭載されているカメラで撮影した映像など重要な情報の流出にもつながります。

 2. DoS攻撃/DDoS攻撃
ドローンに対して大量のトラフィックを送信し、システムを利用不能にする攻撃手法です。
制御不能によるドローンの墜落、業務中断といった深刻な事故につながる可能性があります。

 3. マルウェアによる攻撃
USBデバイスやクラウド経由で、操縦端末やドローン機体にマルウェアを感染させる手口です。
マルウェアに感染すると外部から機体を制御されたり、機密データを抜き取られたりするリスクがあります。

 4. ファームウェアの不正改ざん
ドローンのシステムの脆弱性を突き、悪意あるファームウェアに改ざんする方法です。
この攻撃が成功すると、バックドア(※)が作られ、恒常的な乗っ取りが可能になってしまうリスクがあります。

※正規の認証を回避してシステムに不正アクセスするために設けられた、隠し経路や手段のこと。

ハッキングによる被害

ドローンの制御不能・墜落事故
通信の妨害や乗っ取りにより、ドローンが制御不能になることで、墜落や事故につながることがあります。
場合によっては、歩行者への接触や建物への衝突などによって人身事故や物損が発生し、損害賠償責任を問われるリスクもあります。

機密情報の漏洩
個人情報やドローンが撮影した映像、位置情報などのデータが外部に流出する危険があります。
特に個人情報等の機密情報が流出すると、法的責任や企業の信頼性が問われることになります。

業務の中断や遅延
ドローンの運用が妨害され、計画通りの業務遂行に支障をきたすことがあります。
業務遂行の中断により、プロジェクトの遅延やコスト増加など二次的な影響も発生する可能性があります。

ドローンの盗難・行方不明
ハッキングによりドローンが操作不能になったり、強制的に別の場所へ誘導されたりすることで、ドローンの盗難や行方不明につながります。
機体の損失や内部データの漏洩といった二次被害にもつながってしまいます。

ドローンの基本セキュリティ対策4選

ドローン運用の安全性を高めるには、いくつかの基本的なセキュリティ対策が不可欠です。
中でも、ここで紹介する4つの項目は多くの現場で基本的な対策として位置付けられており、早い段階で対応を進めることが推奨されます。

1. ファームウェアの定期更新

多くのドローンメーカーはセキュリティの脆弱性が見つかった際に修正パッチを発行しています。
これらを適用せず放置していると、既知の脆弱性がそのままハッキングの入り口になってしまいます。
最新のセキュリティパッチを使用し、ソフトウェアの定期的な更新をすることで既知の脆弱性に対応することができます。メーカーの公式サイトやアプリからの通知を定期的に確認し、更新プログラムが公開されたら速やかに適用しましょう。

2. 操縦アカウントや端末の認証強化

アカウント情報の不正使用を防ぐには、複雑なパスワードを設定することが重要となります。それに加えてパスワードも定期的に更新すると安全性が高まります。
パスワードは以下のような条件で設定すると良いでしょう。

・ 10文字以上で、英字・数字・記号を含める
・ 会社名や誕生日など、推測しやすい情報を含めない

さらに安全性を高めるためには、多要素認証などを用いるのもおすすめです。
パスワードが漏洩したとしても、第三者がシステムにアクセスすることを防止することができます。

3. 操作端末のセキュリティ確保

ドローンや関連機器の保管場所に物理的なアクセス制御を実施することが重要です。
ドローンや外部ストレージ(USBやSDカード)の保管場所は鍵付き倉庫、もしくは鍵付きラックにしましょう。
それに加え、倉庫の入退出管理や鍵の利用台帳を活用し、保管場所に対するログ管理を行うことも重要です。誰がいつドローンや外部ストレージにアクセスしたのかを追跡できるようになります。

さらに、不正アクセス防止策として、操縦者や関係者のアクセス権限を適切に設定することも大切です。

4. 通信の暗号化

ドローンの通信を暗号化し、データの盗聴や改ざんを防ぐ対策をすることが必要です。暗号化とは、データのやり取りを第三者が読み取れないように、データの通信を特殊な方法で変換することを指します。

とくに、インターネットやクラウド経由でデータ通信を行う場合は、VPNなどを積極的に導入し、通信経路の安全性を高める必要があります。

これら4つの対策を踏まえ、ドローンの安全な運用を確保するためには、リスクマネジメントと組織的な取り組みや教育も重要です。詳細な対策や事例については、経済産業省・NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の無人航空機分野 サイバーセキュリティガイドラインをご参照ください。

<参考:経済産業省・NEDO「無人航空機分野 サイバーセキュリティガイドライン Ver.1.0」>

インターネットを経由しないセキュリティ対策とは?

インターネット経由による通信のリスク

ドローンの多くは、クラウドや遠隔端末と通信を行うことで、映像伝送・遠隔操作・データ保存といった高度な運用を実現しています。
しかし、これらの通信がインターネットを経由している時点で、外部からのハッキングリスクが常に存在することにもなります。

クラウド等からインターネットに繋いで通信をする場合は、不正アクセスやマルウェア感染、DDoS攻撃などのセキュリティリスクを想定しなければなりません。
これらのリスクに対応するためには、継続的な監視とセキュリティ対策が必要となってしまいます。

閉域通信とは?

インターネットに接続する際に発生するリスクを根本から減らす手段として、「閉域通信」が注目されています。

閉域通信とは、インターネットを介さず、特定の範囲に閉じたネットワーク内で通信を完結させる方式です。
ドローンと制御端末、クラウドサーバー等が、外部ネットワークに接続されない専用ネットワーク内で通信するため、第三者が侵入・傍受するリスクを抑えることが出来ます。

この仕組みによって、インターネットを介したハッキングや情報漏洩のリスクを大幅に抑制できます。
閉域通信のイメージ

閉域通信のイメージ

閉域通信のセキュリティ効果

なぜ、閉域通信がドローンのセキュリティ強化に有効なのでしょうか?
閉域通信を導入すると、以下のようなメリットがあります

不正アクセス・情報漏洩リスクの低減
外部からの通信経路が存在しないため、外部侵入のリスクが大幅に減少します。

通信の安全性・安定性の向上
閉域ネットワークは管理された環境で運用されるため、通信品質が安定し、意図しない通信エラーや遅延が発生しにくくなります。

アクセス制御のシンプル化
通信が特定ルートに限定されるため、誰が・どこから・何にアクセスできるかを明確に設定しやすく、運用管理の負担も軽減されます。

ドローンの運用現場でも、通信インフラにかかるコストや管理リスクを抑えつつ、より高いセキュリティレベルを実現することが可能になります。

閉域環境で実施するP2P通信

閉域通信環境下では、P2P(Peer to Peer:端末間直接通信)の活用も効果的です。

P2Pとは、サーバーを介さずに端末同士が直接通信を行う方式です。この通信方式をドローン運用に活用することで、セキュリティを確保しつつ、操作性も向上させることができます。

docomo MECのMECダイレクトでは閉域環境と併用してP2P通信(端末間通信)も利用可能です。高いセキュリティを保ちながら、リアルタイム性の高い通信を実現できます。
※APN設定やドローンの機体によっては利用できない場合があります。詳しくはお問い合わせください

※APN設定やドローンの機体によっては利用できない場合があります。

詳しくはお問い合わせください

MECダイレクトで閉域通信環境を簡単導入

ドローンのセキュリティを強化する上で、インターネットを経由しない「閉域通信」の導入は有効な手段です。
しかし、「VPNやサーバーの構築には専門知識が必要」「導入コストが高そう」といった懸念を持つ方も多いのではないでしょうか。

その課題を解決するのが、docomo MECが提供する「MECダイレクト」です。
MECダイレクトを使えば、SIMを挿すだけでインターネットを経由しない閉域ネットワークを構築でき、複雑な設定やインフラ構築は不要になります。

MECダイレクトの特徴

 1. インターネットを経由しない閉域環境
MECダイレクトは、ドコモのモバイルネットワークに直結した完全閉域型の通信環境を提供します。
通信がインターネットを一切経由しないため、外部からの不正アクセスや情報漏洩リスクを大幅に軽減できます。

 2. SIMを挿すだけで閉域通信ネットワークを構築可能
MECダイレクト専用のSIMを使用することで、特別な設定やVPN不要で閉域通信が実現します。
あらかじめ登録されたSIMのみがネットワークに接続可能なため、第三者による不正アクセスも防止できます。

 3. 自社内でのアクセス管理が可能
SIM単位でアクセス管理できるため、ネットワークの利用制限・権限設定をユーザー側で簡単に対応可能です。
利用者の追加や削除も柔軟に行うことができます。

 4. ドコモのデータセンター直結による高いセキュリティ体制
通信はドコモのネットワーク内で完結しており、安定した通信品質と信頼性の高いセキュリティを両立しています。

【詳細はこちら】MECダイレクト

MECダイレクトを利用したドローンプラン

LTE対応ドローンにdocomo skyのLTE上空利用プラン対応のSIMカードを挿入することで、「送信電力制御技術」や「周波数バンド制限機能」を駆使して地上端末からの電波干渉の軽減を実現できます。これにより、ドローンのシームレスな飛行をサポートします。

このdocomo skyのLTE上空利用プランにMECダイレクトを併用すると、SIMを挿すだけでドローンの通信を閉域化できます。VPN対応も不要で、高セキュアでリアルタイムな通信を実現可能です。

さらにドコモネットワーク内のdocomo MECサーバーを活用し、インターネットに出ることなくドローンの映像解析や画像蓄積などの高度なご利用も可能になります。

docomo skyのLTE上空利用プランとMECダイレクトを組み合わせることで、
セキュリティを確保しながら、ドローンの活用範囲を大きく広げることができます。

【詳細はこちら】MECダイレクト対応のドコモのドローンプラン
お問い合わせはこちら

MECダイレクトの導入事例:福島県ハイテクプラザ様

福島県ハイテクプラザ様では、災害時のドローン運用を想定した実演システムを構築し、通信速度と安全性の実証実験をおこないました。

従来のVPN通信では実現できなかったリアルタイムな連携に必要な通信速度を満たすことができました。
さらにドローンにSIMカードを挿すだけでモバイル閉域ネットワーク環境を構築でき、手間をかけずに安全なドローン活用が可能になりました。

【詳細はこちら】福島県(福島県ハイテクプラザ)様

まとめ

安全なドローン運用のためには、リスクを正しく理解し、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。
基本的なセキュリティ対策と合わせて、閉域通信を導入することでハッキングリスクを大きく減らすことができます。

閉域通信を簡単に導入できるMECダイレクトとdocomo sky LTE上空利用プランを組み合わせることで、堅固なセキュリティ対策とシームレスな操作性を両立することができます。
よろしければぜひ導入をご検討ください。

【詳細はこちら】MECダイレクト対応のドコモのドローンプラン

参考資料:経済産業省・NEDO「無人航空機分野 サイバーセキュリティガイドライン Ver.1.0 P41~P43」(2025年4月23日閲覧)を参考に本記事を作成しました

リアルタイム通信×高セキュリティ

docomo MEC

docomo MECは、ドコモネットワーク内に配置したMECサーバーと、サーバーへのダイレクトなアクセスを可能にする回線サービス(MECダイレクト)を提供するサービスです。
インターネットに出ない通信により高セキュリティかつスムーズな環境を実現します。

お問い合わせはこちら