タワークレーン3次元自動誘導システム
docomo MEC®のリアルタイム情報伝送で操作性が向上

導入のポイント

  • 揚重作業にかかる負担の軽減と作業効率の向上に向け
    タワークレーンの3次元自動誘導システムを開発
  • ドコモの5Gとdocomo MECを採用し
    リアルタイムな情報伝送を実現
  • 高感度カメラの映像を遠隔操作コックピットで確認
    タイムラグをなくし安全性向上
  • 戸田建設株式会社
    創業140年以上になる準大手ゼネコン。建築をはじめ、土木、地域・都市開発、不動産、再生可能エネルギー事業を手がける。特に病院・学校建築で知られ、実績は多い。業界に先駆けて環境に配慮した技術開発やICT/AIツールの導入に積極的。

導入事例ダイジェスト

  • 施工自動化への挑戦
    docomo MECがアシスト
    大容量データを低遅延伝送
    タワークレーンの3次元自動誘導システムは、BIM、全地球測位システム、クレーン本体、吊荷旋回制御装置、高感度カメラなどの膨大なデータの解析と地上作業員、クレーンオペレータ、取り付け作業員との音声通話が欠かせない。5Gの特徴を最大限に生かした高品質な映像のリアルタイム伝送をdocomo MECがアシストしている。

タワークレーン3次元自動誘導システム実用化に向けた取り組み

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    タワークレーンの3次元
    自動誘導システムを開発
    揚重作業にかかる負担の軽減と作業効率の向上を目的に、タワークレーンの3次元自動誘導システムを開発した。この技術は、従来、手動で行っていた操作をBIM等を活用して自動で行うもので、オペレータの負担軽減を図り、効率良く安全にタワークレーンを操作できる。
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    新システムの開発で
    精度と作業効率を向上
    タワークレーン3次元自動誘導システムの精度及び作業効率を向上させる、新たなシステムを開発。本システムは、GNSS(Global Navigation Satellite System)※受信機、各種センサー及び高感度カメラによって、タワークレーンで吊り上げた吊荷の位置、方向、姿勢及び吊荷の振れを把握・制御し、状況に応じた安全かつ効率的な方法で吊荷を指定の位置に自動的に誘導するもの。安全かつ正確なタワークレーンの自動運転が可能になり、実用性が向上した。
    ※全地球測位システム:人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステムのこと。
  3. 3

    高所のタワークレーン
    運転席で無線通信を実現
    タワークレーンの運転席は、高所に位置するため携帯通信の電波が届きにくい。運転席直下のフレームに電波照射用の無線機とアンテナを設置し無線での音声通話とデータ通信を実現。建物内での安定した無線通信環境を構築した。

docomo MEC + Zao Cloud Viewにより作業精度が向上

  1. 高感度カメラの映像を
    リアルタイム伝送
    クレーン先端とコアコントロールユニットに取り付けられた高感度カメラの映像をZao Cloud Viewとdocomo MECを経由して遠隔操作コックピットのディスプレイで確認。全くタイムラグが無い。
  2. 機器のデータを
    低遅延かつセキュアに伝送
    荷取り地点で揚重する部材及び部材位置の情報を読み取り、docomo MECを経由してコアコントロールシステムに伝送。システムが取付位置への移動ルートを算出しクレーンに伝送。クレーンが自動誘導を開始する。一連のデータ通信は低遅延かつセキュアに伝送。
  3. 取付位置の精度向上
    誤差は1/3に
    クレーン運転席からの映像を見ながらの操作でリアルタイム性が高く違和感がなく利用できる。部材の取り付け動作の精度が向上。

docomo MEC選定のポイントと選定の理由

カメラ映像をリアルタイムでモニタリングが可能

  • クレーン運転席からクレーン先端のカメラ、コアコントロールユニットのカメラなどの映像を見ながらクレーンを操作するため違和感がないリアルタイム性が重要。

揚重作業の自動化に必要なデータを低遅延で伝送可能

  • クレーンやコアコントロールユニットの操作データを低遅延でセキュアなクラウドを通じてシステムにアップロード。収集データをクレーン運転席のPCとディスプレイに表示できる。

リーズナブルな料金体系

  • 要件に合わせて必要な分だけを支払う柔軟な料金設定。データ転送料が不要なので、大容量データでも安心。

お客様の声

  • 新社屋「TODA BUILDING」が実証の舞台
    当社は魅力的な建設現場の実現へ向けた構想として「トダ・イノベーションサイト~2023年の姿~」を2018年に発表しました。本社の建て替えを含む大規模開発「TODA BUILDING」(2024年完成予定)でも、具体的な施工技術を取り入れています。タワークレーン自動誘導システムもその一つで、実証実験をしています。

    私の所属する施工革新部は、建物や地上部分の施工・構築の合理化・自動化にかかわる技術の研究開発をしています。
  • 熟練の揚重作業の自動化に挑む
    高層ビル上階の建設時、取り付ける部材が地上にある場合は、上空にある運転席からは目視できません。さらに吊って運ぶには、途中まで完成している建物を避ける必要があります。部材の玉掛けから吊り上げ、取付けまでの一連の流れを自動化するという、難しい試みに挑戦しています。現在は鳶工とクレーンのオペレータが無線とカメラで情報をやり取りしています。熟練した技術を必要とするこの作業を自動化するという、難しい試みに挑戦しているのです。ひとつひとつ、このシーンではどんな技術がいるのか分析・検証しています。自動化が実現できると将来的にはオペレータなしで作業できます。遠隔操作により一か所で複数のクレーンを操作できるメリットもあります。

吊荷を運んだ先の取付位置の誤差1/3に

カメラやセンサーで取得した動作データを収集し、アップロードするクラウドを探していました。クラウドサービスZao Cloud Viewの端末と連携し2022年夏、実証しました。Zaoでは5G大容量データを高セキュリティで通信することが可能です。タワークレーンに取り付けた各種機器で集めた情報やGNSSデータは、docomo MECのMECダイレクト®で3次元自動誘導システムへと伝送されます。さらに、クレーン先端とコアコントロールユニットに設置された高感度カメラ映像は、ほぼ遅延なく映像配信できます。

実証では「タイムラグが本当にない」との印象を持ちました。遠隔でも運転席にいるのと体感では変わりません。オペレータも「早い。これなら十分」と同じ意見でした。

1年前の実証では、荷物を運んだ先の取付位置に30cm程誤差がありましたが、現在は10cm程となりました。実証を繰り返すことで精度を向上させています。さらに運転席にいるオペレータが操作画面をタッチして、荷振れ制御などの自動運転ができるようになりました。将来の全自動化に向けさらに進化させたいと思っています。

タワークレーン3次元誘導システムに採用された
docomo MECとZao Cloud Viewとは

    docomo MEC

    • docomo MECは、5Gの特長を最大限に活用できる「MEC」サービスです。MECとは、移動通信網において、お客さまにより近い位置にサーバーやストレージを配備する仕組みです。
    • 利用場所に近い拠点との通信により、大容量データを取り扱うデバイス利用におけるリアルタイムな処理に最適です。また、インターネットに出ない通信により、情報セキュリティリスクを低減できます。

    Zao Cloud View docomo MEC版

    • Zao Cloud View docomo MEC版は送信機としてSmart-telecasterZao-Xおよび、Zao App(Android/iOS)を5Gで安定した高品質の映像をリアルタイムに配信し、会話もできるクラウドサービスです。例えば、建設現場での作業支援にご活用いただいた場合、現場から高精細な映像を伝送することにより、手元の細かい作業に対しても的確な指示を出すことができます。

docomo MECとZao Cloud View のリアルタイム映像伝送について

戸田建設のタワークレーン3次元自動誘導システムの映像は、クレーン先端の下向きカメラと「コアコントロールユニット」に設置された2方向のカメラで撮影されます。撮影された映像は、 Zao Cloud Viewの中継機とドコモ5Gルータにより、docomo MECを経由してクレーン運転席のPCへ伝送され、ディスプレイに映像が表示されます。クレーンの動きと吊荷の状態を運転席にいながらタイムラグがなく映像で確認できるため、作業効率、精度及び安全性が向上します。クレーンの映像は現場事務所や遠隔地の事務所からもリアルタイムで確認できます。